AZ購入希望者へのエール
AZ購入希望者へのエール
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AZ−1購入を迷っている方に。
これは三栄書房「AZ−1のすべて」に掲載されたバイヤーズ・ガイドより抜粋したものです。
(筆者・石野良太郎氏 92年11月発行)
ググッとくる魅力を満載 ガルウイングも軽カー初
ビートのショックから1年と4カ月。つい11カ月前にはカプチーノの登場。「マツダはまだか!?」の声にあわてることなく、じっくりと煮込んでAZ−1は姿を現した。ちょいと前では考えられないKカー・ラインナップがもたらす刺激はたまらない。借金を抱え込んでも欲しくなる。
このところ、クルマ業界を取り囲んでは、やれ環境だ、安全だ、不況だ、とつまらない話ばかりが話題にされる。環境と安全は確かに重要だが、日本での環境論議と安全論議はほとんどピントが外れっぱなしで、いいかげんに飽きてきた。不況説にしても、その半分くらいはマスコミがあおっているようなもんで、たいそうな肩書を持ったオッサンたちの「景気回復○月説」にもウンザリする。
「カンボジアは安全だ」「日本は生活大国をめざす」なんてウソばっかついている政府は論外。いつまで情報操作で国民を疑似環境のなかに放置しておこうというのか!誰が見たってカンボジアはあぶねぇ所だし、ちょっと考えれば日本が生活三流のビンボー国だなんてことも分かる。ああ、いやだいやだ・・・。
で、「何かスッキリしたことねえかなァ」と思ってたらAZ−1が出た。だから、これ以上は御託を並べないで、しばらくコイツを眺めることにしよう。
フェラーリが環境・安全おかまいなしのクルマを作ったって、文句をいうヤツはいない。カッコよくて、速くて、ググッとくるものがあればいいのだ。所詮は生産台数が限られたマイノリティだ。クルマの根源的な部分で頑張ってくれれば、それでいい。フェラーリがリサイクルできないなんて騒ぐヤツは、いますぐに文明生活をやめるべきだ。
AZ−1はそこんとこのノリがフェラーリだ。ググッとくる何かを持ってるし、軽自動車の規格内でこれだけのクルマに仕上がっているのはお見事。で、環境への配慮もしてる。安全はというと、このテのクルマがいちばんアクティブセーフティ(予防安全性)では優れているのだ。
マニュアルトランスミッションだけってのもいい。「楽だからATに乗る」なんてのは大きな間違いで、ダイレクト・トルクパス式以外のATはちょくちょく人間様を裏切る。地球温暖化がどうのこうのといいながらATに乗ってるのは、まさにナンセンスだ。
150万円近い値段に文句をいうのもナンセンス。これを一台売ったって、大して儲からない。たぶんギリギリの値段だろうな。ちょいと値引きしたら、それこそディーラーは赤になる。
とにかく、コイツは見て、触って、乗ってみなけりゃ始まんないクルマだ。そんで、気に入ったら迷うことはない。
以上、AZ−1のべらんめぇ調ご案内を。ちなみに、筆者は酔っぱらっているわけではない。ごく真面目にAZ−1のプロフィールを語ったまでだ。
ビートもカプチーノもそうなのだが、全長3300mm、全幅1400mm、エンジン排気量660ccの軽自動車という制約のなかで設計責任者がチームをまとめ、クルマとしての”気持ち良さ”を存分に表現している。これは立派だ。「あと5cm、横幅が許されていれば・・・」などという次元の話ではなく、軽自動車の枠でメカニズムを練り上げた点に価値があるのだ、と思う。
当然、開発費はかかる。しかし主力車種ではないから、かなり絞られる。設備投資も抑えられる。「よくここまでこだわった」と感心してしまう。
確かに、軽自動車は日本だけのローカル・カテゴリーであり、現在の規格に文句もある。しかし、与えられたレギュレーションのなかで、2シーター・スポーツカーというカタチを完結させ、3車三様の個性を見せてくれる。ニッチ(隙間)商品とか、提案型商品とかいったマーケティング上の言葉を使うまでもなく、十分過ぎるほどのアピールを持っている。まったく脱帽だ。
願わくば、AZ−1は少数を何年も作り続けて欲しい。それこそ自動車メーカーにとっては、もっとも効率の悪いやり方だが、そんなクルマが日本にもあっていいと思う。苦しい時期だが、マツダにはこれをお願いしたい。
趣味に浸って走る快感 装備充実はオプションで
さて、個人的な感情の昂りだけを書き連らねても仕方がないので、いつものように装備をチェックしてみる。
すでに述べたが、AZ−1はマニュアルトランスミッションのみの設定で、グレードもない。「AZ−1」という名前のクルマが、ボディカラーとABS装着の有無との差だけで生産されるのだ。
標準装備は次のようになる。
▼外観=カラードバンパー/ロッド式ルーフアンテナ/グラスルーフ式ガルウイングドア/ハイマウントストップランプ
▼視界=ハロゲンヘッドランプ/フロント間欠式シングルアームワイパー/リアウインドウデフォッガー/防眩式ルームミラー
▼インパネ(計器盤)回り=エアコン/タコメーター(エンジン回転計)/透過式メーターパネル照明/コインボックス(ステアリングコラム右横)/シガーライター&灰皿/シートベルト未装着警告灯/フューエルリッド(給油口)オープナー
▼シート回り=一体成型フルバケットシート/運転席フットレスト&シートスライド/ドキュメントホルダー(書類入れ)
▼その他インテリア=フロアカーペット/3ポジションルームランプ(ドア連動)/スペアタイヤカバー
▼メカニズム=4輪独立ストラット・サスペンション/4輪ディスクブレーキ/オールステンレス製エグゾーストシステム/水冷式オイルクーラー/ラック&ピニオン式ステアリング
※ ※
安全装備については、サイドインパクトビーム(側面ドア内部補強材)、二重アクセルリターンスプリング、難燃性室内素材、ロールオーバーバルブ、燃料噴出防止装置など、運輸省指導の装備をひととおり揃えている。
ただし、オーディオ、アルミホイール、フォグランプ、速度警報装置、LSD(リミテッド・スリップ・デフ)などはディーラー・オプション(OP)で、4輪ABSはメーカーOPという設定。タイヤは155/65R13がメーカー装着サイズである。
ボディカラーはブルーとレッドの2色のみ。車体の下半分と前後バンパーはグレー塗装される。このテのクルマでも、ボディカラーを7〜8色は用意して欲しいと思うが、後で追加設定されるのだろうか。なお、シートはボディカラーとの間でカラー・コーディネートされる。
装備レベルの上昇が著しい今日のKカーを思うと、AZ−1の装備は物足りない。オーディオ(インダッシュの取り付けスペースは1DINサイズ)は最低限必要だし、アルミホイールと革巻きステアリングホイールも欲しい。これらを市販品から選ぶとしたら、車両価格のほかに30万円は必要だろう。つまり、ABSなしの仕様で合計180万円ほどになる。
それでも、ルーフキャリアは装着できない(従ってスキーには行けない)。マガジン式CDオートチェンジャーをセットするスペースはあるが、大きな荷物は運べない。用途は限られてくる。あくまで運転そのものを楽しむクルマ、移動時間のなかで目一杯趣味に浸るクルマなのだ。
いま、自動車メーカーでは部品共通化を重要課題にしている。車種ごとに新しく部品を開発していたのでは、コストがかさむ。そこで、できるだけ共通で使える部品を増やし、それによってコストダウンを図ろうということだ。その一方で、車種ごとの特徴や個性をきちんと確保するというテーマにも取り組むのだ。
共通化といえば、キャロルはスズキから主要コンポーネンツの供給を受けていた。Kカー分野でのマツダ=スズキの協力だ。この協力関係の次の段階がアルトワークスのエンジンを移植したAZ−1というわけ。ご存知の方もいようが、かつてマツダの軽トラック、ポーターキャブも三菱からエンジン供給を受けており、主要コンポーネンツの合理化案を、いち早く実践した先見の明は評価できる。
今回のバイヤーズガイドでは、敢えてAZ−1を装備と価格でライバル車と比較するのをやめる。それが意味のないことだと筆者は判断した。互いに認め合うライバル それでいい。最後にAZ−1の取扱い販売店は全国のオートザム店で、本誌58ページに地区販売会社のリストを掲載した。
さらにもういっちょ。
ネコ・パブリッシング刊「J’s Tipo’94年Vol.17」より
斉藤慎輔氏によるT−HOUSE・AZ−R試乗記のイントロ文です。
うれし、楽し、大好きインプレッション
もう、こんなミニ・スポーツを出してくれることはないと思うなあ、AZ−1をこのまま、消滅させてしまっていいのか、本当にそれでいいのか?思い出してみろよ、AZ550の名で'89年の東京モーターショーに出品された時、「こんなのを作ってくれ」と心の中で叫んだんじゃなかったのか?
AZ−1は、そんな声を聞き取ってマツダが世に送り出したものだったんじゃないか。たしかに時期は悪かった。ビートもカプチーノも出た後で、もともとキャパの小さいミニ・スポーツ市場は、すでに掘り起こしが進んだ状態。その上、バブルの崩壊と重なっちまって、こうした走り自体を楽しむお遊びグルマに乗るのが悪いことみたいな風潮すらある。
たしかにミニ・スポーツでは、2人しか乗れないし、荷物なんかまともに積めやしない。なかでもAZ−1は、実用性の低さときたら国産スポーツすべてひっくるめて堂々ナンバー1だ。乗ればオモチャみたいなところも少なくない。でも、それがなんだっていうんだ。いましか乗れないクルマっていうのがあるんだよ。RVならジジイになってからでも遅くはないだろう。でもAZ−1みたいなクルマには乗り手にも「旬」がある。ボクは背伸びをせずに、こういうのを自分なりに乗りこなしているヤツをカッコいいと思う。