ESQ. Matsushita の 許可を得て下記の著作権情報を皆さんにもお知らせします。

●著作権(ちょさくけん)
  
著作物の著作者が持つ、著作者人格権と著作財産権の総称である。著作権は、著作物の創作によって
発生する
ので、権利を得るため、特許権や商標権のように出願を行って審査を経る必要がない。  

著作者人格権としては、公表権、氏名表示権、同一性保持権がある。著作財産権としては、複製権、      
貸与権、翻訳権、翻案権等がある。これら権利の侵害に対しては、損害賠償請求、差止請求を行う    
ことができる。  保護期間は、著作者の存命中および死後50年であるが、会社名義で公表された
著作物については、公表から50年である。                          

保護対象となる著作物は、小説、脚本、論文、講演等の言語の著作物、音楽の著作物、舞踏等の著作物、 
絵画等の美術の著作物、建築の著作物、地図等図形の著作物、映画の著作物、写真の著作物、プログラムの   
著作物などが例示されている。                         

●私的複製(してきふくせい)−著作権関係−

私的使用のための複製行為には著作権の効力が及ばない(著作権法30条1項)。これは、単に私的
利用のために著作物を複製するのであれば、著作権者にそれほど経済的損失を与えることはないだろう
という見地から認められたものである。 例えば、個人的にCDからカセットテープに音楽をダビング
する行為が該当する。企業などが、業務のために行う複製はこれに該当しないと考えられている。
また、たとえ私的使用に用いられるものであっても、このような複製を業務として行うことは、本条の
範囲を超える。また、複製だけなく、翻案することも、私的使用のためであれば許される(著作権法43条)。

ただし、私的使用といえども、公衆への送信までは認められていない。したがって、個人が趣味で開設している
ホームページであっても、他人の著作物をコピーして掲載することはできない。

インターネットにおいてホームページを閲覧させる行為は、自動公衆送信に該当する。自動公衆送信には送信を
可能とするような行為(送信可能化)も含まれる。ホームページに他人の著作物をアップロードして公衆に閲覧
可能とする行為も、著作者の公衆送信権を侵害することとなる。このように、インターネットに接続されている
サーバ(自動公衆送信装置に該当する)のハードディスクに著作物を記憶させる行為までも、公 衆送信の概念に
含めたのは、自動公衆送信においては、リクエストがあれば自動的に送信が行われるので、その前段階で、侵害を
阻止できるようにするためである

●著作権の基礎知識

著作権ってどんな権利?

著作財産権と著作人格権

著作権は、著作財産権と著作人格権とから構成されています。双方の権利とも、著作物に関する複数の権利が
束になったものです。 著作物には、客観的なデータ(富士山の標高など)は含まれません。また、著作物と
なるためには人間が創作した(新たに作り出した)ものでなければならず機械的に模倣したものは含みません。

また、著作物とは、あるアイデアに基づいて具体的に表現されたもの(小説、絵画等)でなければならず、
アイデアそれ自体は著作物にはなりません。

著作財産権

複製権
「複製」とは印刷、写真、複写、録音、録画などの方法を用いて具体的な物に著作物を収録することをいいます。
なお、複製には著作物の一部を複製することも含みます。 たとえば他人の小説の一部を複写することも複製権の
侵害となります。

貸与権
「貸与」とは、著作物の複製物を公衆に提供することをいいます。この権利は、レンタル業(貸レコード業等)の
発達に対応するために、昭和59年の改正により認められたものです。たとえば、販売されているレコードは
正規に複製されたものですから、このレコード購入して使用することはなんら問題ありません。しかし、購入した
レコードを著作権者の同意なしに他人にレンタルすることは、貸与権の侵害となります。
なお、著作権者に無断でレコードからカセットテープに複製しこのテープをレンタルすると、複製権の侵害とともに、
貸与権の侵害ともなります。

公衆送信権
有線、無線を問わずに、データ送信することをいいます。 従来は複製が著作権侵害の中心でしたがネットワークの
発達により、複製以外の著作権侵害が問題視されています。 たとえば、他人の著作物をネットワークを通じて送信
すれば、瞬時に、複製物が生成されます。
また、インターネットの普及により、リクエストを受けた送信行為が発生しました。 そこでリクエストを受けて送信
する場合には、実際に送信がなされなくても、リクエストがあると送信可能な状態としただけで、著作権を侵害した
こととなります。 このような送信可能な状態とすることをコントロールできる権利を送信可能化権といいます。

その他翻訳・翻案権など
「翻訳」とは、ある言語で書かれた小説等を別の言語に書き替えることをいいます。したがって、インターネット上の
英語の報告書を無断で翻訳して自分のホームページに載せると、翻訳権の侵害となります。
「翻案」とは、小説のドラマ化、シナリオの映画化という様に、原作の筋、場面設定など(これらを内面的表現
形式といいます)を基にして、別の著作物を作りだすことをいいます。ただ、現実問題としてどこまで似ていれば、
翻案でなくなるのかはケースバイケースで 判断されます。

なお、ある論文を要約すること、すなわち、ある論文の表現をそのまま用いて、短く縮めるだけであれば、翻案に
該当します。これ対して内容を自分の言葉で紹介するものについては翻案に該当しません。ただ、翻案については
非常に難しい問題ですので、専門家に相談することをおすすめします。

著作者人格権
著作者人格権には、公表権と氏名表示権と同一性保持権の3つの権利があります。

公表権とは創作した著作物を発表するのかしないのか、かりに発表するとしたらいつ発表するかを決定する権利です。

氏名表示権とは創作した著作物を本名または本名以外の名前を表示するかを決定できる権利です。

同一性保持権とは著作者の意に反して、著作物の変更、削除、改変などを受けないという権利です。
例えば、ある絵画のパロディー作品などを作った場合、著作者に許可を得ないと同一性保持権の侵害となります。

侵害とみなされる行為
上述したような著作物に関する権利は、我国の著作権法により認められた権利ですから、 国内で著作権の発生した
著作物を外国で複製することは、著作権侵害ではありません。そして、複製された著作物を輸入して販売する行為には
著作権の効力は及びません。したがって、後で説明する差止を請求することはできないこととなります。

しかしこの様な行為を認めたのでは著作権者の権利は不当に害されます。そこで、著作権法はこのように本来的には
侵害ではない行為でも一定の範囲で侵害とみなすという規定を設けています。たとえば、外国で録音したカセット
テープを販売目的で輸入することは侵害とみなされます。また、そのカセットテープが著作権者の承諾なしに複製
されたということを知りつつ販売したり、倉庫などに保管するも侵害とみなされます。

正当理由があれば侵害とならない
以上のような複製行為や翻案行為は、原則として著作権侵害となります。しかし以下の場合は上記のような複製や
翻案に該当しても、著作権侵害とはなりません。

権利の目的とならない著作物である場合
法令、通達、判決については、もともと公衆に広く知らしめることが目的ですので、著作権の保護対象とはなって
いません(著作権法13条)。したがって、これらを複製や有線送信したとしても、著作権侵害にはなりません。
これらの翻訳物についても、同様です。ただし、翻訳物については、翻訳を国家機関ではなく、通常の会社が
行ったような場合には、該当しないので注意してください。

私的使用のための複製
単に私的利用のために著作物を複製するのであれば、著作権者にそれほど経済的損失を与えることはないだろう
という見地から認められたものです。ただし、公衆が利用できる自動複写機器(有料か無料かは問わない)
用いて複製することは認められません
。さらに、公衆送信することも認められません。

学校その他の教育機関における複製
小学校や中学校等で授業における著作物の利用の必要性を考慮して、著作権者の経済的利益を害さない範囲であれば
複製しても著作権侵害にはなりません。 しかし、「必要と認められる範囲」という制限がある点に注意して下さい。
学校の授業で問題として利用する為、生徒の数だけ市販のドリルをコピーすることは認められません。

引用である場合
公表された著作物は引用して利用することができます(著作権法32条参照)。ただし、引用であるから全て認め
られるわけではなく、i)正当な慣習に合致すること、ii)報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で
あることが必要となります。
例えば、自説を裏付け補強するために他人の学説を引用することができます。ただし、引用の方法として、言語
の著作については、引用であることが明確になるようにたとえば、「」で区分することが要求されます。
また、引用の目的は報道等に限定されるわけではありませんが、他人の著作物を自己の著作物に表記する必然性が
なければなりません。なお、量的には、引用部分が大部分で自分の著作物がほんの少ししか存在しない場合には、
正当な範囲内とは認められません。
このように、考えますと、画像データの場合の引用というのは殆ど認められないと考えたほうがよいでしょう。

著作権は相対的な独占権である
著作権は、でき上がった著作物ごとに発生します。具体的に説明すると、Aさんがaという小説を、Bさんがb
という小説を創作したとき、どちらの小説にも著作権が発生します。 かりに、小説aと小説bが非常に似て
いて同じ小説であるように思えるものであったとしても、各々独自に創作されたものであれば、どちらの小説にも
著作権が発生します。
したがって、Bさんが「小説aは、自分が創作した小説bを複製したものである」と警告をしてきた場合であっても、
Aさんは、自己の小説aを自由に出版することが可能ということになります。

このように、2つの小説が仮にほとんど同一であったとしても、Aさん、Bさんどちらも自己の小説を自由に出版
できるわけです。このため、著作権は相対的な独占権といわれます。

著作権の発生について
著作権法においては、著作物を創作したらなんら手続をすることなく、著作財産権と著作者人格権が認められます。
たとえば、多くの著作物に、"(c)1998 ××××"と表示されていますが、かかる表示をするまでもなく、著作権は
創作した段階で発生し、さらに、権利行使もできるわけです。
ただ、あくまでも保護を受けようとするのが著作物でなければならない点に注意してください。
最終的には、裁判所で認めてもらう必要があります。

会社で創作した著作物について
著作権と著作者人格権を持つのは、原則として、その著作物を創作した者(著作者といいます)です。
ただし、従業員等が職務として創作した著作物については、会社名義で公表された場合は、会社が
著作者となります。

侵害者に対して何ができるのか
間違いなく侵害であるとの確信がある場合には、一般にはその行為を中止させる為に、警告状を出します。
それでも中止しない場合は、最終的には、訴訟しかありません。判決によって強制的に中止させるのです。
侵害行為を中止させる差止請求だけでなく、損害が発生していれば損害賠償を請求することもできます。

ただし、著作権侵害かどうかの判断は、必ずしも容易ではありません。著作権は相対的独占権ですから
慎重に判断して下さい。冷静に判断することが大切です。

外国での保護
属地主義
日本で著作権をもっているからといって、外国でも自動的に著作権を持つわけではありません。なぜなら、
日本の著作権は、日本の法律によって認められたものだからです。このように、このように、日本であれば
日本の著作権法、アメリカであればアメリカの著作権法というふうに、各国の法律によって各国ごとに著作物を
保護するという考え方を属地主義といいます。

属地主義のもとでは、その国で要求されている要件や手続に従わないと、著作物は保護されません。
この要件や手続は国ごとに異なり、我国のように無方式主義の国もあれば、保護を受けるためには一定の方式を
必要(方式主義)とする国も存在します。したがって、保護を受けようとする国の保護方法を調べて、それに
従わなければなりません。

条約による保護
国際的な保護のために
属地主義のもとでは、著作権による保護を受けるにあたっては、その国で要求されている要件や手続に従う必要が
あります。しかし、保護のための要件や手続は、各国ごとに異なります。したがって、その国が要求している方式を
いちいち満たさなければならないとすると、著作物の国際的な保護が図れなくなります。そこで、各国は条約を締結し、
条約の要件さえ満たしていれば、どこの締約国(条約に加入、批准している国)においても相互に保護を受けられる
ようにしています。

代表的な条約として
著作権を保護する代表的な条約として、ベルヌ条約と万国著作権条約があります。
前者は、「著作権の保護を受けるためには、いかなる表示も必要ない」という無方式主義を採用しています。
後者は、「保護を受けるためには、(c) の後に第一発行年と著作権者の名前の表示(一般には(c)表示といわれます)が
必要である」という方式主義を採用しています。

現在多くの国が双方の条約に加入していますが、中には、万国著作権条約にしか加入していない国があります。
したがって、万全を期すためにも(c) 表示をしたほうがよいでしょう。 
なお、著作権の保護に関しては、万国著作権条約よりベルヌ条約のほうが厚いので、ベルヌ条約に加入すれば、
その国ではベルヌ条約が適用されます。

(c)1991-1997 Tadashi MATSUSHITA

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