絵を視る人にとってより心地よく見える調和のとれた絵を描く為のヒント

皆さんはカラースキームと言う言葉を聞かれて事はありませんか? 色の組み合わせに
よっては調和し易い組み合わせとそうでない組み合わせがあります。 代表的なものの
一つにコンプリメンタリーカラースキーム(補色関係)例えば赤と緑といった様な関係
がありますが、2色だけの関係ですと割と分かり易いですが、数が増えるに連れてその
コントロールも難しくなります。 またこのカラースキームから外れた色を使用しても
調和が全くとれなくなる訳ではありませんが上手く纏める事は難しくなるでしょう。 
またこのカラースキームを選択するにあたり充分な色の選択ができるスキームを選択し
ないとバックグランドのみならずフレームも含めて作品全体に観る人に興味を抱かせる
色構成にする事が難しくなります。   
使用する色の面積比による調和の例    
なぜ色の組み合わせによって心地よくみえたり、見えなかったりするかの説明は他の頁
でまた説明させて頂きます。                          
 

絵の中で使用した一つの色が孤立してはいませんか? 全体の調和やバランスや全体の
カラーフローの流れを考えて色を使用する為には明度や彩度等に変化を付けて反復使用
する必要があります。 またドミナントカラーという言葉を聞かれて事はありますか?
絵には一瞬見ただけで全体を占める主になるカラーをもっていないと観る人にとっては
心地よく感じさせません。 通常はバックグランドや主たるアイテムの様に面積が一番
大きい部分を占める色と一致する事が多いことでしょう。 またそれに伴ってセンター
オブインタレスト、つまり一番最初に観る人の目に入ってもらいたい部分、でも注意し
て頂きたいのは一つのアイテムではなく、その周りの一部を含むエリアを意味します。
それ為にはこの部分には、ディテールも一番ハッキリと描き入れる事になりますし、又
テキスチャー(質感)もバラエティーに富ませ一番鮮やかな色を使用してコントラスト
を一番付ける部分になりますので、このセンターオブインタレスト以外の部分にあまり
明度、彩度の変化を付けると観る人の目を困惑させる原因にもなります。      

皆さんもブレンディングでは悩まれて事はありませんか? オーバーブレンディングに
アンダーブレンディング何れも立体的なフォームを形つくるのに必要な滑らかな明度の
変化を表現するには克服しなければなりませんね! オーバーブレンディングがおきて
しまうと、色が濁ってきたりまたその結果として明度の滑らかな変化がない為に部分的
にフラットな部分ができてしまう事があります。 またブレンディングが不十分な場合
には2つの違った明度の境に境界線が残ったままになってしまいます。 色を濁らせず
また境界線も残さない様にブレンディングができる様な練習が必要ですね!     

ブレンディングの技術とは直接は関係ないでしょうが、特にアクリルペイントで永い間
ペインティングをされていると、傾向として同じ色のアイテムを一度に描いていく癖が
ついてしまいますが、先ほどのセンターオブインタレストから描きはじめて次第にそこ
から遠ざかるに連れて明度、彩度を落としながら描く方法を試して頂きたいですね! 
またこれとも関連してバックブランドに近くなるに連れて明度、彩度ともこれに近づく
事になりますが、あまり離れすぎていても反対に近すぎていても良くはないでしょう。
また色温度もバックブランドに近づくに連れて少しづつクールに変化させるのも立体感
や絵の構図の奥行きを与えるのに役立つことでしょう!              

技術認定等におけるスティルライフ画ではライトソースは単一光源を原則としています
ので複数の光源や蛍光灯の様な一点集中ではない光源下で描くとハイライトやシャイン
それにシャドーの位置が単一光源の場合とは違って複数の位置に反映しますので観る人
の目を困惑させる原因になります。 尚シャドーの光源に対する位置や角度は単一光源
の設定に伴いコンスタントな位置と角度の関係を強いられます。 シャドーの特性には
ハイライトとの位置関係とは逆の方向になり、最低でも3つの明度の違いを持たせる事
が望ましく通常は下記の特徴をもっています。  尚、この光源が強くなるに連れてコン
トラストやシャドーのエッジラインはシャープになり、リフレクティドライトも同様に
強くなりますが、シャドー内のバリューの範囲は反対に狭くなります。 これとは反対
に光源が弱くなるに連れてコントラストやシャドーのエッジラインはソフトになり、 
リフレクティドライトも同様に弱くなりますが、シャドー内のバリューの範囲は反対に
広くなります。                                

1)光源とは反対の方向に陰は落ち、光が当てられた物体の形状に伴って陰の形を作る。

2)これらの陰は透明色であり3段階の明度を持っていて、物体に一番近い部分では  
一番暗い明度になり、時には不透明な場合もあります。           

3)クールな感覚、色は寒色になります。                     

4)これらの陰は物体から落とされた部分の色を帯びます。 通常は何段階かのステージ
  に分けて描き上げますが、一番暗いバリューの部分には透明度のないほんの少量の 
  ペイントを使用する事もあります。 つまり陰はグレーや黒ではなく色を有します。

各色の持つ温度感に付いて

色相環のチャートを見た場合に比較的簡単にカラーテンパラチャー(色のもつ暖かさや冷たさ)を
認識することができると思います。 レッド、オレンジ、イエローは太陽や炎など暖かさを思い浮
かばせますし、ブルー、グリーンバイオレットは水や草等の涼しい感じを思い浮かばせます。  
しかし、色を目に認識させる多為に絵の具に含まれているピグメント自体はこれとは全く別の問題
になります。 一つの色相を表現する為に幾つも異なったピグメントを使用される事がありますが
これらのピグメントのカラーテンパラチャーを認識するにはかなりの訓練を要するでしょう。  
また色彩、明度同様にこのカラーテンパラチャー(温度)も単体ではあまり意味をなしません。 
何時も何かと比べて始めてそれぞれがより暖かいか、より冷たいのかが認識できます。