色に関する錯視現象に対比同化があります。 色の対比は有る色がその周囲の色に影響されてその違いがより一段と
顕著
になる現象を言い、同化はそれとは反対に周囲の色に影響されてより一段と近づいて見える現象を言います。

           (A) 明度対比(Color contrast)と明度同化 (assimilation)

明暗の対比(contrust)現象で左右の円の中間をみつめていると黒の中のグレーの小円のほうが、白の中のグレーの小円より明るくみえます。
視覚伝達組織の経路のいたるところにある側抑制というところでこの錯視現象がおこるとされています。

同心円の2重の(受容野)細胞により、右図の様な時に中心の(受容野)細胞はもっとも活発に反応し、左図の様な時は反対に反応が鈍くなります。
この(受容野)細胞のために、黒の中のグレーはより明るく見え、逆の特性の(受容野)細胞により、白の中のグレーはより暗くみえます。

同化 (assimilation)

明暗の錯視現象にもう一つ同化とよばれる上記の対比とは丁度反対の現象があります。

背景が白の中にあるグレーは 白っぽく、反対に黒の中かにあるグレーは暗く見えます。  普通は上記の対比現象がおきるのはずですが、どの様な時に相反するこの同化現象になるのでしょう。 
その原因は黒線や白線の太さ(プロポーション)面積比にあると言われています。 これらの線の幅が正方形と同じくらい太くなると対比現象になります。

従って、皆さんが絵を描かれる時に、構図の中でフォーカルポイントを創りだす為に幾種もの対比と同化を利用できますが、明度を考えた場合にも、この(プロポーション)を良く考慮しないと、意図した効果は得難くくなりますよね! 

           (B) 色相対比(Color contrast)と色相同化 (assimilation)

左図では灰色の背景に赤丸と青丸が描いてあります。 画面中央、赤丸と青丸の中間を見つめてください。
すると何となく赤丸の中心が青っぽく、青丸の中心が赤っぽく見えますが、本当は同じ灰色です。 明暗について同じ現象があった様に、ここでは色彩で同じ対比現象が起こっています。  左図は赤、青、灰色がほぼ同じ明度にしてあり明度の対比現象をおさえて、純粋に色彩の対比が起こる様にしてあります。  
色彩の知覚は非常に複雑で、網膜では始め長、中、短波の波長を検出します。 赤、緑、青と言わないのは必ずしもその色に見えないからです。 情報はすぐ 赤-緑、青-黄、明暗に変換されます。 人間が知覚する色彩はずっと大脳の奥V4領域で視野全体の情報を勘案してきめられ、光の波長から想像される色彩とは必ずしも一致しません。

この図は左右同じ明度の白い背景に青と赤の格子模様を描いたものです。 しかし青い格子の背景は青っぽく、赤い格子の背景は赤っぽく見えます。 つまり格子の色に背景の色が「引きずられて」いるわけです。 このような現象を「同化」と呼びます。

これとはちょうど上記の「対比」の逆の現象になります。

同じ状況が明暗についてもありましたがここでも同じ疑問がおこります。 普通は対比が起こってよいはずなのに同化が起きています。 ではどんな時に 同化になるんでしょう。 また生理学的機構はどうなっているんでしょう。  色の情報について、人間は空間分解能が悪いと言われて、色で区別される細かい形をあまり正確に見ていないと言われています。

ここでも原因は赤線や青線の太さ(プロポーション)面積比にあると言われています。  これらの線の幅が正方形と同じくらい太くなると対比現象になります。

同化現象にはこの2つ以外にも、彩度による同化、明度と彩度が
同時に影響するトーンによる同化(等色相同化)、色相と明度が
同時に影響する同化、3要素が同時に影響しあう同化があります

                        その他の対比現象

 このページの概念とプレゼンテーション方法はヨハネスイッテンの本を参照しています。